分譲住宅トラブルは意外と少ない?4つの理由と購入時の注意点を解説

分譲住宅トラブルは意外と少ない?4つの理由と購入時の注意点を解説

一戸建てを購入する場合、注文住宅のほか分譲住宅、建売住宅などの選択肢があります。なかでも分譲住宅は、ハウスメーカーなどが開発した分譲地に購入する住宅です。 希望エリアに新しい分譲地ができ、周辺環境も良さそうだけど、「分譲地はトラブルが多いとも聞くけどどうなんだろう」と思われる方もいるのではないでしょうか。分譲住宅を検討する場合、建物だけでなく分譲地の特徴を踏まえて判断することが大切です。 この記事では、住宅地で一般に起こりやすいトラブルを紹介しながら、分譲地では起こりにくい理由について解説します。分譲地の住みやすさやどのような人が分譲地に向いているかも分かりますのでぜひ参考にしてください。

分譲住宅とは?注文住宅、建売住宅との違い

分譲住宅とは、複数の区画の土地と道路、水道、ガスなどのインフラを整備した分譲地に、土地と建物をセットで販売する住宅です。分譲地内に公園や緑地などが整備されることもあります。

分譲住宅と似ているものに建売住宅がありますが、土地と完成した建物をセットで販売する意味では同じです。ただ、分譲住宅が一定規模の広さの土地に数個から数十個、なかには100区画を超える規模で販売されるのに対し、建売住宅は、1個あるいは数個の小規模な土地に家を建てて販売するイメージです。

一方、注文住宅は、購入した土地に、間取りやデザイン、仕様などを自由に選びながら建てられる住宅です。分譲住宅や建売住宅が外観や間取り、設備などが決められているのに対し、注文住宅は、家族構成やライフスタイル、好みに合わせて、間取りやデザインにこだわった家づくりが可能です。

ただし、注文住宅にも完全自由に選ぶことができるフルオーダーのものから、いくつかのパターンの間取りや仕様から一部を変更できるセミオーダーの住宅、もしくは、いくつかの決められた間取り、外観、仕様のなかから好みのデザインや素材を組み合わていく規格住宅までいくつか種類があります。

住宅地で起こりうるトラブル

一定規模の戸数の住宅が集まって生活する住宅地では、近隣トラブルが起こることもあります。ここでは、一戸建て住宅ならではの住宅地で起こりうるトラブルについて解説します。

  1. 生活音・子どもの声など音のトラブル
  2. 近所づきあい・コミュニティ参加にまつわるトラブル
  3. マナー違反によるトラブル
  4. 境界や越境にまつわるトラブル
  5. ペットにまつわるトラブル

1.生活音・子どもの声など音のトラブル

生活音や子どもの声など、音に関するトラブルです。マンションのトラブルでも多くを占める音の問題ですが、一戸建てが集まる住宅地でも起こり得ます。

  • 公園や前面道路での子どもの遊び声
  • 家の前で大声での井戸端会議
  • 深夜に隣家から聞こえる生活音
  • 窓全開にして聞こえる会話や音楽
  • 車やバイクの音が大きすぎる

特に、比較的道路が狭く、狭い土地が密集している地域では、道路や近隣からの音が聞こえやすく、隣接住戸の生活が見えやすいためトラブルに発展しやすい傾向です。

また、公園に面していたり、子どもの遊び場になっている道路などでは、毎日聞こえてくる子どもの声が迷惑となることもあります。

2.近所づきあい・コミュニティ参加にまつわるトラブル


近所づきあいやコミュニティへの参加をめぐるトラブルです。

隣接住戸をはじめ、一定程度の近所づきあいや挨拶は必要ですが、多くなり過ぎると噂話や陰口なども耳にしやすくなり、揉めごとに発展する場合もあります。

同じ年代の子育て世帯が多い地域では、幼稚園や学校の送り迎えなど生活時間帯が似たものになりやすく、顔を合わせる機会も多いためコミュニティが形成されやすい傾向です。そういったコミュニティに馴染めない、参加したくないといったことから、人間関係のトラブルが生じることがあります。

また、自治会や町内会のイベントや祭りが盛んな地域などでは、参加しなければならない雰囲気になっていることもあり、参加を巡って意見が合わず揉めることもあります。

3.マナー違反によるトラブル

多くの人が集まる住宅地では、ルールを守らない、マナー違反によるトラブルもあります。

決められた時間や分別回収などゴミ出しのルールを守らないことで、住宅地内にゴミが放置されたり、カラスなどがゴミを散乱させたりが繰り返されると、大きなトラブルに発展することがあります。

また、夏場に遅くまで庭でバーベキューをして騒音や臭い、煙などを長時間発生させることで近隣の人間関係が悪くなってしまうこともあるでしょう。小さな子どもが多い地域では、家の前の道路でボール遊びをして車や壁にぶつけることで思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

4.境界や越境にまつわるトラブル

マンションと異なり、一戸建ての場合、敷地の境界や越境にまつわるトラブルがあります。特に、昔からある住宅地では、境界を示す境界標がなかったり、地震などで抜けてなくなっていたりするともめる可能性が高くなります。

例えば、土地を売却したり、建物を建替えたりする際に、境界を明確にしようとしたときに隣人と認識が異なりトラブルに発展するようなケースです。

また、庭の植栽や雨どい、エアコンの室外機などが境界線を超えている場合にもトラブルとなりかねません。日常的に隣の家から落ち葉や雨水が入ってくると、土地の維持管理にも影響しますので、関係が悪化してしまう原因となります。

その他、自宅へ引き込んでいる水道管が隣の敷地を通っている場合もあり、水道管の引き直しや維持管理をめぐって想定外のトラブルに発展することがあります。

5.ペットにまつわるトラブル

一戸建ては、マンションのような管理規約による制限もなく、自由にペットを飼うことができますが、飼い方に気をつけないとトラブルに発展します。

鳴き声がうるさかったり、家の前を通るたびに吠えられたり、また、数多くのペットを飼っていると餌や糞の臭いを近隣まで発生させ、もめ事に発展することもあります。

分譲住宅なら意外とトラブルは起きにくい4つの理由

住宅地で起こりやすいトラブル事例を紹介しましたが、分譲地は、開発段階から住環境として住みやすく整備されることが多くあります。

一般的な住宅と違い分譲地でトラブルがおきにくい4つの理由を、分譲地に住むメリットを含めて解説します。

  1. 道路やインフラが住みやすく開発されている
  2. 同世代で価値観や生活スタイルが近い
  3. 敷地の境界が明確なうえ一定の広さがある
  4. コミュニティのルールづくりに参加できる

1.道路やインフラが住みやすく開発されている

分譲地は、土地を利用しやすい整形地に区画し、道路や水道、ガスなどの生活に必要なインフラを新しく整備するなど、分譲地全体として住みやすく開発されています。

例えば、道路幅を広めに確保したり、土地に隅切りが設けられたりと、車の通行がしやすく、見通しのよい環境が整備されることが多いです。道路が広ければ、安全性が確保しやすいだけでなく、車を駐車しやすい、プライバシーを確保しやすいなどのメリットもあります。

また、分譲地の購入層として子育て世帯のファミリー層が想定されていることが多いですので、分譲地内に公園や休憩スペースが設けられる分譲地もあります。

分譲地は開発される時期に応じて、その時代にあった法律や条例などを踏まえた街づくりがされています。従来からある住宅地と異なり、安全性やプライバシー性に配慮された街づくりがされているケースも少なくありません。このように開放的な環境として整備された分譲地では、音やプライバシーの問題が生じにくくトラブルが起きにくいといえます。

2.同世代で価値観や生活スタイルが近い

分譲地では、新たに年代や家族構成が近い人が集まりやすく、生活スタイルや価値観が近くなりやすい分トラブルに発展しにくい面があります。

同じ幼稚園や学校に通わせる子育て世帯が多いと、情報交換しやすく、悩みや疑問を共有しやすい点は円滑なコミュニケーションにはプラスといえるでしょう。同年代の子どもが多ければ、ママ友やパパ友もできやすいだけでなく、子どもにも友達が作りやすい環境を提供できます。

同じ幼稚園や学校に通わせ生活時間帯が似通ってくると、音などの問題もお互い理解しやすく、仲間意識も芽生えやすいことからトラブルになりにくいでしょう。

3.敷地の境界が明確なうえ一定の広さがある

まとまった区画を販売する分譲地の場合、一定の広さの敷地面積が確保されていることも多く、自治体によって、開発面積が一定規模になると、敷地面積の最低限度が定められることがあります。

一定の広さが確保された土地であれば、隣接住戸と一定の距離が確保しやすいため、生活音や日当たり、プライバシーの問題も起こりにくく、敷地の境界が明確であることから境界にまつわるトラブルは起きにくいでしょう。

この点、比較的狭い土地が密集する住宅地や昔からある住宅地の場合、隣接住戸との距離が確保しにくかったり、敷地が狭い分3階建ての家が多く建てられていることがあります。そのような環境の場合、日当たりやプライバシー、騒音などの問題が生じやすい環境となっているかもしれません。

郊外につくられることも多い分譲地は、比較的、ゆったりとした開放感のある住環境が整備されることが多く、隣接あるいは近隣住民同士のトラブルは起きにくいといえます。

4.コミュニティのルールづくりに参加できる

新しく引越して来る人が集まる分譲地であれば、コミュニティのルールづくりに参加することも可能です。自分たちが参加して作ったルールであれば納得感や満足感も高く、仲間意識が形成されやすいといえます。

すでに自治会や町内会のルールが決まっている住宅地であれば、納得できなくても変えることは容易ではなく、他の住民との対立も生み出しかねません。

その点、新しい分譲地であれば、ルール作りを通して、意見や提案を出したり、話しあう機会があることで分譲地内のトラブルを未然に防ぐこともできます。住民の意見や不満の受け皿があれば深刻な問題に発展しにくく、トラブルを減らせるでしょう。

建売住宅における良質な物件選びのポイントを知りたい方はこちらもご覧ください。

近隣トラブルをおこさないコツと注意点

分譲地で住民トラブルが起こりにくい理由を紹介しました。ただ、多くの家族が集まって生活する以上、トラブルを起こさないコツや注意点を理解しておくことも必要です。迷惑をかけられているときは気づいても、迷惑をかけているときに意識できていないこともあります。

まず、ゴミ出しなどについて行政や自治会のルールを守ることは当然として、生活音や境界からの越境、ペットの飼育についてのマナーをしっかり守ることが大切です。

また、住民との人間関係を良好に保つために、挨拶はしっかりすることです。ゴミ出しや子どもの送り迎え、ペットの散歩中など、顔を合わせる機会も多くなることもありますので、良好なコミュニケーションの第1歩として心がけましょう。

そのうえで、自治会の地域活動にできるだけ参加することも大切です。人間関係を良好に保つうえでプラスとなりますし、地域の問題点を知ることもできるでしょう。

ただし、住民とのコミュニケーションは大切ですが、適度な距離感を保つことも意識しましょう。同じ町内会、幼稚園、学校と共通するコミュニティに所属することも多くなりますので、濃い人間関係になり過ぎると反対にトラブルにつながる可能性もあります。

分譲地・分譲住宅に向いている人・向いていない人

ここまで紹介した分譲地でトラブルが起きにくい理由を踏まえ、分譲地あるいは分譲住宅に向いている人、向いていない人の特徴について解説します。

分譲地・分譲住宅が向いている人

分譲地に向いている人の特徴として、次のようなものが考えられます。

  • 新しい環境・人間関係で生活を始めたい
  • 落ち着いた住環境に住みたい
  • 子育て世帯が多い地域に住みたい
  • 購入予算を抑えながら広い家に住みたい人

新たに土地が区画され、道路などインフラが整備されたばかりの環境で、新生活をスタートさせたい人は分譲地に向いているといえます。ファミリー層をターゲットに開発されることが多い分譲地では、子育て世帯を意識した、落ち着いた住環境が作られることも多いです。そのような環境で、新しく人間関係を築きながら生活したい人にはおすすめです

また、一般的に、分譲住宅は注文住宅と比べ、土地探し、家づくりの自由度は低くなりますが、購入予算を抑えやすいメリットもあります。複数の区画の建物について、同時期に共通の建材や設備、仕様の住宅を建てることで建築コストを抑えやすいためです。

そのため、購入予算を抑えながらも、一定の広さの土地、建物で生活したい人にも向いているといえます。

建売住宅の購入の流れを知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

分譲地・分譲住宅が向いていない人

一方、分譲地に向いていない人の特徴として、次のようなものが考えられます。

  • できるだけ近所付き合いや地域の活動に参加したくない
  • 隣や近隣に住んでいる人を確認したい
  • 家の外観や間取りにこだわりたい
  • 資産価値や将来の売却にこだわりたい

地域の活動に参加したくない人や近所付き合いは避けたい人は、あまり向いていないかもしれません。分譲地のコミュニティや自治会が形成されることがあり、住宅地内の道路や公園で顔を合わせる機会も少なくありません。

また、分譲地の場合、一般的には、隣や周辺に住む人がどういう人か分からずに購入するため、隣や近隣に住んでいる人や雰囲気をしっかりと確認してから購入したい人は向いていません。

分譲住宅では間取りや外観、内装などを選ぶことは難しいため、間取りや外観にこだわりたい人には向いていません。また、分譲地のなかには、駅から離れた郊外に作られているものもあります。資産価値を考えた場合、立地条件は大切です。将来の売却のしやすさや売却収入を優先したい人は、立地条件を慎重に判断したうえで分譲住宅を検討することが大切です。

まとめ:分譲地の特徴をおさえた購入判断をしよう

分譲住宅や建売住宅は、土地と建物がセットで販売されますので、建物だけでなく、土地の広さや形状、道路付け、周辺環境までしっかりと判断する必要があります。

そのなかで、一つひとつの土地が明確に区画され、道路やガス、水道などのインフラが新しく整備される分譲地は、安心して購入しやすいといえます。

住宅地であれば、いろいろな近隣トラブルが起こる可能性は否定できませんが、一定の広さの土地で境界が明確な分譲地は、音やプライバシーといった面では、一般の住宅密集地と比べるとトラブルは起きにくいといえるでしょう。

また、新たに引っ越して来る人が多く、同年代の子育て世帯同士でコミュニケーションが取りやすい点は、適度な距離感を保つことができればもめ事なども回避しやすいといえます。

土地探し、建物について、注文住宅のような自由度はありませんが、予算を抑えつつ一定の広さの土地や建物で生活したい人には有力な選択肢といえるでしょう。

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お好みの外観や内装をカスタマイズすることもできますので、資金計画から間取り、外観、購入手続きまで、どんな家が建てられるか、お気軽にご相談ください。

吉満博

ゼネコン、ハウスメーカーで建築設計に従事後、自身の住宅購入をきっかけに不動産売買事業を始める。不動産の購入から売却まで出口戦略、資産性踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。これまでの実務経験を活かし、2023年から不動産・金融メディア中心にライターとしても活動。自身のサイトで不動産売買や住宅ローン等のお役立ち情報発信。

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